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【Unagi-Network Advent Calendar 2023】2023年のクトゥルフ神話TRPGを振り返る③ ~印象的な自探索者編~

※本記事は、3本立てとなっているうちの「3本目」となっております。

 残り2本である「回したシナリオ編」「回ったシナリオ編」を読んでいない方は、先にそちらを読むことをお勧めします。

 

 今年のTRPGを振り返る記事、最後は「探索者編」です。

 

 設定厨の自分にとって、最も気合を入れるのがこの探索者の設定、といっても過言ではありません。

 始めた当時からそれなりに凝ったキャラシを作ることが多かったですが、今年はそれがより加速した1年だったと思います。

 

 今年は18人の探索者・共鳴者を作成し、18人(≠作った探索者全員)がセッションを回りました

 まだ完走していなかったり回っていなかったりする探索者もいますが、今年は結構作りましたね。昨年はTRPGも新規探索者も少なかったこと、今年は新しい卓でいろいろ回らせていただいたのが多いと思います。

 ロスト0だったのは嬉しいですね。新規を作るのも楽しいですが、継続探索者をやれるのも醍醐味のひとつなので……。

 

0.全体を通して

 今年の探索者の特徴は、大きく3点あります。

① モチーフとして「色」「花」の名前を取り入れる

 昨年から続いている傾向として、名前に「色」か「花」をモチーフとして入れていました。

 今年は多分全員どちらかを含めていたはずです。どちらかというと、花モチーフの探索者が多かったですね。

 花モチーフだと色とか花言葉とかを設定に利用できるので作りやすかったです。

②取得技能の本人による解説

 キャラシ作成サイト「いあきゃら」のアップデートで自由記述欄を増やすことができるようになったので、概要以外のことを書きやすくなったのも大きいです。

 その例として、興味ポイントで振った技能を中心にその技能を何故取っているかを探索者本人の口から語らせる、という項目を設けました。

 喋り方を決めることになるので探索者像も広がるし、同卓する方にどういう性格の人かというのが伝わるので個人的には結構便利だと思っています。

 まあ実際のところ、他の方にどれくらい役に立っているかはわかりませんが……。

③バックストーリーの追加

 今まではひとつしかない概要欄に全部書くとだるいキャラシになってしまうので控えていたのですが、記述欄の増加により隔離できるようになったので「見たい人だけ見な!」ができるようになり、お陰様で心置きなく怪文書を書くことができました。そのせいか今年は以前に比べ設定が過積載だったり闇深だったりな探索者が多い印象です。てへっ

 

 そんな変化があった中で、今年印象に残った探索者が誰だったのか、ひとりずつ簡単に解説していきます。

 また、シナリオのネタバレのないように配慮はしているつもりですが、万が一引っかかったらすみません。

 

1.浜綿 夕梨花(はまわた ゆりか) 21歳

モチーフ:ヒメノカリス

別名「スパイダーリリー」「浜木綿(ハマユウ)」

花言葉:「虚勢」「あなたを見つめています」

通過シナリオ:辜月のN(HO1「禍」)

 個人的に今年一番思い入れのある探索者です。

 演劇に救われ、その道を歩み始め、そこで目覚めた天性の演技力を駆使し、”キラキラな大学生”という鉄面皮を被った女子大生。

 本当はちょっと臆病で気弱で、不器用なところもありますが、好きなものには全力を尽くし、どんな理不尽な状況でも一生懸命足掻き突っ走る、友達思いの女の子です。

 ちょっと自分の性癖に正直すぎないか?以前紹介した『わたなれ』の甘織れな子にどこか似ている気もします。

 キラキラモードのときは標準語ですが、生粋の京都人なので昔のクラスメイトや親友の前ではべたべたの京都弁。そのためセッション中もなんちゃって京都弁を振りまいていました。友達に京都出身の人がいたのでその人のイントネーションや言い回しを参考に喋っていたのですが、難しいもんやねえ。でもやっていて楽しかったです。

 思い入れがある理由としてはシナリオの内容とか同卓探索者とかいくつかありますが、「セッションを通して最も印象が変わった子」だから、というのがひとつあります。

 キャラシ提出時点ではそこまで設定が深く決まっているわけではなかったのですが、やっていくうちにキャラシには直接描かれないような複雑さというか、“深み”みたいのが色濃く出ましたね

 表面だけ見れば「服が地雷系で京都弁で天才的な演者で猫かぶり」と創作キャラ〜って感じだったのですが、蓋を開けてみれば「人間らしさ」がよりよく出た子だと思います。ここまで一人の人間らしくキャラが立った子はそうそういません。

 本当に好きな探索者だし、この子のことを好きになってくれた同卓のみなさまにも感謝しかありません。ありがとうございます。

 

2.空木 舞香(うつぎ まいか) 29歳

モチーフ:空色

通過シナリオ:レトロスペクティブ・ペトロイコル(HO1)/鬼の大切な物

 今年一番手癖全開だった探索者。

 誰かを助けたくて探偵事務所に勤め始め、行方不明になった師でもある所長を待つ女性。

 感情豊かで強気で前向きで、ちょっとした暗い過去があって、顔が良い。もはや実家のような安心感がありますね。

 ただ、今年はいつにも増して探索者のキャラが幅広かったので、逆にこれが個性として確立していた気がします。

 そんな彼女ですが、セッション内で大きく変わった浜綿とは逆に、キャラシに書かれたことそのままを貫き通した探索者だと思っています。

 学生時代クラスの中心にいた子、というハンドアウトをいただいたので、時々自分の気づく範囲で気を配りつつ、基本は前向きにガンガン行こう!って感じの女性をイメージしてやっていました。どちらのセッションでもそうだったのですが、シナリオ上の立ち位置でも知らず知らずのうちにお姉さんとして振る舞う場面が多かったように思います。

 まっすぐで明るいキャラは大得意なので、個人的にはとてもロールプレイしやすい探索者だったな、と思っています。また同時に、自分がこれまでより深くロールプレイ沼に浸かるきっかけになったセッションでもあるので、ターニングポイントとなる探索者でもあると思います。セッション終わった後にシナリオを受けてキャラシをいじいじするようになったのもここからだったかな……?

 あとは……ネタバレも絡むのであまり言えませんが、「セッション中に失うことに縁がある」探索者でもあります。探偵なのでそういうことはこれからも少なからずあるでしょうが、光あるところに影があるように、明るさに対してちょっとずつ闇が堆積してきているような気がします。

 

3.クレア ?歳

モチーフ:エクレア、カーネーション、エリカ、アズサ

花言葉:「上品」「私の心に悲しみを」(カーネーション)「孤独」「寂しさ」(エリカ)

通過シナリオ:Good Morning ALL(HO不老不死)

 今年一番設定を凝った探索者は?と聞かれれば、間違いなくこの人でしょう。

 元々お菓子屋さんで働いていたものの、とある事情により職を辞さなければならなくなり、気が付けば記憶喪失になっていた女性。

 こいつほど何を書いてもネタバレになってしまう人はいません。何を書けばいい?

 雰囲気からしてファンタジーっぽい感じだったので、ここぞとばかりにこれまでのラノベパワーを生かして設定を練った探索者です。

 卓が立ってからセッションまで時間があったこと、HOの内容があまりにも好みだったこともあり、色んな設定をべたべたくっつけまくった過積載キャラシになりました。モチーフの数も他の探索者の比にならないくらい多いです。なんだよエクレアって*1

 記憶を失くす直前までの状況から、おそらく彼女は無口キャラの方がいいだろうな、と思いそう設定していたのですが、いざセッションが始まると、昔お菓子屋をやっていた頃の明るさを身体が思い出したのでしょうか、想定よりかなり明るく元気にしゃべる人になっていました。キャラシ通りにいかないのもあるあるですね。

 見た目については不老不死なことや名前、(ネタバレ配慮)なこともあり、思いきり色素の薄いタイプにしよう、ということで白髪赤目にしました。うわあ癖〜!!

 ここまでファンタジー色の強い探索者を作れることってなかなかないので、ノリノリで作らせていただきました。またこの探索者でシナリオ回りたすぎる。

 

4.高蝶 小夢 24歳

モチーフ:シャガ(胡蝶花)

花言葉:「反抗」「友人が多い」

通過シナリオ:心臓がちょっと早く動くだけ、ロールシャッハシンドローム

 今年の僕の探索者は下半期になるにつれて暗い過去を持つ探索者が多くなったのですが、その走りになったのはこの人でしょう。

 父親を火事で亡くし、それをきっかけに消防士になった女性。署内のアイドル的な存在で、明るく正義感に溢れているものの、亡くなった父の後を追おうとして現場に立ち続ける人。花言葉の「反抗」は現実に対する反抗、という意味合いでつけています。職業は確か職業一覧からダイスで決めました。

 自分含めPLが全員吹奏楽部出身だったこともあり、職業や出身はバラバラでも吹奏楽を共通点にしよう!ということで吹奏楽団に所属しています。消防士とメイドとギャンブラーが一同に会する吹奏楽団、実に社会人バンドって感じですが絵面としてすごすぎる。担当は中の人と同じ打楽器。

 明るめの探索者、といっても空木と違い、破滅願望を持っているという暗い要素があるので、底抜けに明るいわけではなく落ち着いた明るさを目指してやっていました。

 『ロールシャッハ』のときはその暗い部分も『心臓』を受けてだいぶ薄くなったというかなくなったので、お姉さん気質のない空木みたいな感じを意識していました。こういう変化を出せるのは、継続探索者の良さですね。

 あとは花言葉のとおり「友人」との関係性が大きく絡んでくる探索者かなと思っています。2回とも同じメンバーで回ったので、その印象があるのかもしれません。吹奏楽というと人間関係がドロドロしやすい学生時代のイメージが先行しますが、浅すぎず深すぎず、適切な距離感を保ちながら関係を築いているのが社会人っぽくていい感じの味を出していたな、と感じます。

 

5.藤ノ瀬 幟(ふじのせ のぼり) 25歳

モチーフ:ルピナス(昇藤)

花言葉:「想像力」「空想」「貪欲」

通過シナリオ:輾転と町は、胡蝶の夢は今宵も、海綴じ(KPC)

 今回紹介する7人の中では設定が軽めながら、個人的には結構気に入っている探索者です。

 いわゆる便利枠。ギャグもシリアスもいけるオールラウンダーです。

 オカルトを絡めたニッチ寄りな歴史小説を書く、めちゃくちゃ顔の良い中性的な雰囲気の女性。幼馴染に筋肉(同卓探索者)がいます。

 インドア系と思いきや取材という名の旅行に行くのが好きなアウトドア系で、オカルトに造詣が深く、不思議なことがあれば興味の赴くままにそちらへ向かっていくこともあり、神話的事象には結構巻き込みやすいです。そういうところで言うと初登場となった『輾転』とのシナリオ相性もよかったですね。

 また、この筋肉とのやり取りも印象深かった理由のひとつだと思います。

 筋肉をやっていたプレイヤーが結構気軽にふたりの存在しないエピソードトークをガンガン盛ってくれていたし、なんてことのない軽妙なやりとりが多かったので、そういうところから探索者のイメージを深堀りできたのはとても大きかったです。

 大人の男女バディだとくっつくかくっつかないかっていう話もあると思うんですが、双方のプレイヤー及び探索者ともに「まあくっつくことはないだろうな」っていう謎の信頼があったのも面白かったです。

 本当に汎用性が高い探索者で、ロールプレイも非常にやりやすいので、これからも気軽に振り回していきたいです。

 たまにはエモシとかにも連れて行ってあげたいですね。どういう反応するか見てみたいです。

 

6.巨銀谷 月灯(こがねや あかり) 22歳

モチーフ:ゲッカビジン、ルナリア(銀扇草)

花言葉:ともに「儚い美しさ」

通過シナリオ:実験体δは青に微笑む

 性癖もりもり、色んな意味で一番“あざとさ”を持っている子。

 ゆるふわな見た目と敬語口調から繰り出される、前向きで積極的な愛嬌のある性格が実に可愛らしい、薬学部に所属する女子大生。

 身長165cmでSTR15というパワータイプ(ダメージボーナス持ち)なところもあり、ギャップ萌え欲張りセットの座をほしいままにしています。キャラシが完成したとき「とんでもないモンスターを作り出してしまった……」と震えたものです。

 事前に今年一緒にTRPGしていただいた何名かに印象に残った探索者アンケートを取ったんですが、浜綿に並ぶ人気ぶりでした。いやマジでわかる。自分で言うのはあれだけどかわいすぎるもん。

 セッション中もその明るさのままに他の探索者やNPCと積極的に話をしていましたね。元々「気になるけど話をする機会に恵まれなかった」ということもあったので、ここぞとばかりに色々話しかけていました。久々の多人数セッションだったこともあり、中の人もノリノリでことあるごとに誰かに話を振っていたような気がします。

 こんな愛嬌満点の彼女。今後もぜひ使っていきたいのですが、シナリオの結果とは全く関係なく、ちょっと難しいかもしれません

 どうやら参加したシナリオの“実験”の参加の理由にもなっている、同卓探索者相手にすら明かしていない、ある“大きな秘密”が関係しているようなのですが……。詳細はちょっと僕にはよくわからないですね……。

*2

 

7.越智 雪海(おち ゆきみ) 21歳

モチーフ:スノードロップ

花言葉:「あなたの死を願います」

通過シナリオ:明晰夢にて(HO2)

 最後に紹介するのは、今年一番背負わせた業が深い探索者です。

 名前の通り雪のような銀髪と白い肌、アクセントを添えるような赤い瞳が特徴的な、曲製作を趣味としている女子大生。

 真面目ではあるものの言葉少なで、友達がおらず、同級生からも何を考えているかわからないと言われがちなタイプの、僕の探索者には珍しいダウナーな子です。「ウマ娘アドマイヤベガみたい」と思ったあなた、だいたい正解です。アヤベさんは友達いるけどね

 セッションでは相方となる子がちょうど自分と対照的なガンガン引っ張ってくれる系の元気っ子だったので、それに付き従いながらも、話しかけられればちゃんと答えたり、真面目な性格なりに一緒に話をしたり質問をしたり、いざという時には相方を強い口調で引き留めたりと、彼女なりの積極性を引き出すことができたかなと思います。

 無口キャラなのを受けて、向こうがこっちの言葉を引き出そうとしてくれたのにもとても助けられました。ありがてえ……。

 さて、そんな彼女がどんな業を背負っているかというと、「自分と親しい人物が何らかの要因で死んでしまう呪いのようなものを持っている」というものです。親や今までできた友人は死別、生きている親族とは絶縁状態とかなりハードモードな状況に置かれています。

 花言葉が起因の設定とはいえ、いくらなんでもやりすぎか?とは思いましたが、結果的にめちゃくちゃ愛着は生まれたし、セッションを通過したことで彼女に大きな変化もあったので、この設定を盛り込んでよかったな、と思っています。でもこういう重すぎる設定はほどほどにしないとですね。

 

 ということで、ここまで今年の印象的な探索者を7人紹介しました。

 ここで紹介しなかった子たちもそうですが、どいつもこいつも個性的で、みんな大好きな探索者です。自分の好きなタイプの子を作ってるんだから当たり前なんですが……。

 今年は特に盛り込んだ設定がシナリオに絡むことが多かったし、RPが前よりもパワーアップしたような気がするので、これまで以上にTRPGを楽しむことができて個人的にはとても嬉しかったです。その分思い入れも大きくなりましたし。

 最近はややアイデアが枯渇気味なところもあるので、来年はインプットを増やしつつ引き続き自分好みの素敵な探索者を増やせたらいいな、と思っています。たまには全然毛色の違う探索者も作りたいですね。

 自探索者の紹介をしたからには、KPしたやつPLしたやつ問わずで、同卓した方の探索者やNPCへの愛を叫ぶだけの紹介記事も作りたいですが、パッと思いつくだけでも好きな子70人いるので絶対に終わりません。ていうかまず1年で70人以上の探索者やNPCと知り合えたの最高では??ありがとうございます。

 同卓する方及び引っ張ってくださるKPのみなさまにおかれましては、今後ともうちの探索者がご迷惑をおかけするかとは思いますが、何卒よろしくお願いします。

 

 ということで以上3日間、3記事かけて、今年のTRPGを振り返らせていただきました。書きすぎですね。ごめんなさい。

 今年は本当にいろんなご縁に恵まれて、学生時代の友人から音ゲーマーまで幅広く4卓を反復横跳びさせていただいた1年でした。海綴じ以降は最低でも週1で何かしら回ったり回したりしていた気がします。VITALITY……。

 20代も後半になって2年経ち、リアルが忙しくなって離れていく人が増える時期でありながら、同年代の新たな出会いがいくつもあったのは本当に嬉しい限りです。

 これからも色々とお世話になることがあるとは思いますが、仲良くしていただけますと幸いです。

 ここまでの乱文長文を読んでいただき、ありがとうございました。

 

*1:お菓子屋だったからお菓子のモチーフが欲しかった。結局エクレア=稲妻というところから、髪色の白の理由として生かされています

*2:ヒントにはならないと思いますが、一応キャラシページ置いておきますね。同卓のKP・PLの方々はもちろんこの内容を知っています。なお、これも何のヒントにもならないと思いますが、2015年が舞台のシナリオなので、2023年時点で彼女は30歳です。